先輩移住者インタビュー
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東京からのIターンし、今年4月からかみのやまで社会人一年目を踏み出した本多さん。同市役所に地域おこし協力隊として勤めながら、害獣駆除の仕事を行う彼女に、今の暮らしぶりや移住した感想について聞いてみる。
移住を考えた経緯と、かみのやまを選んだ理由を教えてください。
昨年度まで、私は野生動物の調査や管理を学ぶ専門学校生でした。子どもの頃から動植物が好きで、それらに関わる仕事に就きたいと考えていたからです。しかし、その分野の仕事は決して多いものではありませんでした。そんな時です、学校の卒業生の中には地域おこし協力隊として、獣害対策などの仕事に関わっている人がいるということを先生から教えてもらったのは。獣害対策の仕事は、地方にこそ多いものでしたが、生まれも育ちも東京の私にとって、自然に囲まれた地方の暮らしは憧れでした。導かれるように検索し、ヒットしたのが、かみのやまで獣害対策員を募集しているという情報でした。
移住を決める際に、大変だったことはありましたか。
山形県にはさくらんぼというイメージしか無く、ましてやかみのやまという市名は初めて知りましたが、移住自体には何も迷いはありませんでした。どうせなら知らない場所に行きたいという思いが強かったし、まだ二十歳だし何とかなると腹をくくっていました。ただ、私には社会人の兄が二人いますが、どちらも実家住まいです。自然と兄妹で一番初めに私が一人暮らしをする流れになりました。しかも移住先は家族の誰も知らない地方都市ですから、当然ながら両親にはとても心配されました。特に父は厳格な人なので、安心してもらうためにも、自分の移住プランを練り上げました。最終的には「頑張ってこい」と背中を押してくれましたが、そこが一番大変だったかも知れません。
実際に住んでみての感想を教えてください。
学校の実習では、携帯電話もつながらないような山奥で1週間ほど寝泊まりします。また、大分の祖母の実家も田舎で、その何も無い環境が好きだったので、初めてかみのやまに来た時は、「思っていたよりも都会」という印象でした。むしろ、スーパーやコンビニが徒歩圏の市街地に部屋を借りたので、暮らしやすさを感じています。そして、四方を山に囲まれている景観に満足しています。移住して来てまだ半年、夏の暑さこそ経験しましたが、冬本番はこれからの新しい経験になります。本当の感想が言えるのは、その後かも知れませんね。
協力隊の仕事は充実していますか。
市役所内部での仕事は、先輩や同僚に支えられ、とても楽しくしています。また、外部の獣害対策の仕事も同じで、猟友会の皆さんの助言もあり、充実した日々を送っています。罠を仕掛けた場所を確認したり、カメラを仕掛けたり、電気柵設置の相談を受けたりしていますが、学校で学んできた私より、逆に現場での経験を重ねてきた皆さんの意見は鋭く勉強になります。地域によって動物の行動パターンが違うことを実感します。今のまま経験を重ねれば、かみのやまの獣害対策スペシャリストになれるのではないでしょうか。昨年まで知らなかった街で、人々と出逢いながら、知識や技術を身につけられるのは楽しく、日々新たな発見があることは、私のやりがいになっています。
かみのやまに住んでみて大変だったことはありますか?
今のところ、まだ大変だったことはありませんが、面を食らったことはあります。それはいただきものをする機会が多いこと。シャインマスカットやラ・フランスなどの高級果樹や、新鮮な野菜をいただくなんて、東京の生活ではありえないので、本当にもらっていいの?と、当初は戸惑いの連続(笑)。料理好きなのであれこれ試作していますが、何せ私は一人暮らしですから、消費が間に合わないって焦ることも。果樹でスイーツを作ったり、猟友会さんと一緒に活動したり、ここに住んでからは東京ではできなかったことに、たくさんチャレンジさせていただいています。
かみのやまの魅力はどんなところにあるのでしょう。
専門学校では、動物をはじめ植物や昆虫の生態も学びました。実習もありましたが、当時はいまいち分からなかったこともありました。しかし、かみのやまに来てからは、それらを身近に感じられる機会が多くて。例えば、アキアカネというとんぼは、夏の間は山にいて、秋口になると市街地に降りて来ます。そんなことで季節を感じられるようになったのです。獣害の仕事も同じで、季節によって動物の行動パターンが違うので、そういったことからも季節を感じられています。まだ移住したての私には、そんな気づきの一つひとつが鮮烈な経験で、自然に囲まれた街・かみのやまだからこその魅力として感じています。
かみのやまへの移住を考えている方へ、先輩としてのアドバイスをいただけますか。
私は野生動物に関わる仕事がしたい思いだけで、かみのやまへの移住を決めました。就職するための移住でしたし、迷いが無かっただけにアドバイスになるかは分かりませんが、ここには私が県外出身者であることを気にする人はいません。移住者をすぐに受け入れてくれる土壌が整っていると感じていますので、その点は安心して欲しいです。それにあれこれ考えるより、まずは飛び込んでみるという勇気は大事です。私はこの街での暮らしを、悔いを残さぬよう、これからも楽しんでいきたいと思っています。