先輩移住者インタビュー
interview05
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埼玉県で飲食店を営まれていた渡部さんは、ある時からご主人の実家がある山形への移住を意識するようになりました。そして、県内の市町村を巡った後に、移住先に選んだのがかみのやまでした。武家屋敷が軒を連ねる市街地の古民家を改装し、再びお店をはじめた渡部さんに、移住の感想について聞いてみる。
移住を考えた経緯と、かみのやまを選んだ理由を教えてください。
以前は埼玉で、今と同じ玄米菜食のお店を営んでいました。その場所も良かったのですが、私が思い描くお店とは少し違っていたことや、ひとりでするには家賃が高かったこともあり、次第に移転を考えるようになっていました。同じ頃、夫の実家がある山形へ遊びに来たのですが、その時の印象がとても良くて。当時、移転先としては、実家がある広島や、また関東近辺を検討していたのですが、山形って良いところだねと夫に伝えたところ、私よりも一生懸命に移転先を山形で探しはじめてくれて。市町村を巡った後、辿り着いたのがかみのやまでした。
山形にはさくらんぼのイメージくらいしか持ち合わせておらず、かみのやまのことは全く知らなかったのですが、市役所への相談で初めてこの街を訪れた時、とても環境の良い場所だと素直に感じることができました。そして、玄米菜食の食事作りをする上で、叶うなら自分で畑を耕し、朝に収穫した野菜を料理できるようなお店にしたいという思いを市役所の方に伝えると、ぜひこの街にお店を開いてくださいと、私の肩を押してくれました。紹介してくださった古民家には、畑もついていて、ここならば自分の思い描くお店ができると感じました。広島出身の私が、まさか山形に住むとは考えてもいませんでしたが、夫とともに2018年に移住して、無事にお店も移転することができました。
移住を決める際に心配だったことなどありましたか。
私は一度決めたら突き進む性質なので、心配事は何ひとつありませんでした。ですが、むしろ移住先を探してくれたはずの夫の方が、雪国であることや、玄米菜食が地域に受け入れられるのかなど心配していたみたいです(笑)。生活面においても、かみのやまには必要なものすべてが揃っていますし、移住とは言え誰も知らない街に行くのではなく、行政の方をはじめ、応援してくれる方がたくさんいたので何も心配することなく、楽しみながら移住できたと思っています。
現在の仕事は充実していますか。
一時の夫の心配はよそに、開店以来、沢山の方々がお店を尋ねてくださっています。そもそものきっかけは環境問題がターニングポイントとなって玄米菜食の料理に進むことになりました。肉や魚こそありませんが、動物性原料や添加物不使用、有機栽培や伝統製法が優先された玄米菜食は食べるということそのものが環境と自然に大きく繋がっていることを意味しています。自分と環境問題の相互を見た時に玄米菜食を選択することによって気持ちもいくらか楽になります。この立場に寄り添ってくれるのはかみのやまであったからこそなのだと改めて思います。自家菜園との両立こそまだ不慣れな点も多いのですが、自分が思い描くお店により近づけたと思っています。
かみのやまの魅力はどんなところにあるのでしょう。
都心部と比べても無いものは無いし、反対に向こうには無いものがここにはあります。美しい自然の景色や澄んだ空気。美味しい水に、溢れるほどの果物。そして、極め付けは温泉です。以前住んでいた場所には無かったものが、かみのやまには山ほどあることに魅力を感じています。人もとても温かいし、農家さんが多いので、ちょっと傷がついてしまった果樹などをお裾分けしていただけるのも嬉しいですね。でも、コンテナでいただくので、自分達で消費するほか、実家に送る作業も大変なくらいです(笑)。ありがたいことですよね。ラ・フランスやさくらんぼなんて、実家の広島では高くて買えなかったですから。そんなおおらかな雰囲気が街全体に漂っていることも、かみのやまの魅力なのかも知れません。
かみのやまへの移住を考えている方へ、先輩としてのアドバイスをいただけますか。
かみのやまには山の景色があり、車を少し走らせれば緑豊かな果樹園もある。温泉だって大小さまざまな旅館の他に、毎日利用できるような共同浴場がたくさんあります。生活に必要なインフラも市街地にまとまっているコンパクトシティで、都会とはまた違った暮らし方ができる。私にとってはちょうどいい田舎で、山形県内でもいち推しの街です。だから移住を考えている方には、とりあえず温泉に浸かってみたらと伝えたいです。いいお湯だなぁってひと息つく間に、きっとこの街に魅了されるはずですから。空気も水も、食材も美味しい。そして何よりお湯が良いので、どなたにも満足していただけるはずですよ。